2017年9月1日金曜日

円の極の座標の解の変換

以下の問題は、第1次の解を、「ひし形の対角線の直交の公式」を使って第2次の解に変換しましょう。

【問1】
 円(x+y=1)に対して、
接点A(a,a)から引いた接線と接点B(b,b)から引いた接線の交点P(x,y)を求めよ。
(接点Aから引いた接線と接点Bから引いた接線の交点Pは、円Oの、極線ABに対すると呼びます。)

【解答】
円の式を、以下の式1のf(x,y)=0であらわす。
接点AとBとに、以下の式2と3が成り立つ。
円の接線の公式により、接点AとBとの2つの接線は、以下の式4と5であらわせる。
式4と5を連立させて、2つの接線の交点P(x,y)を求める。
解の式10は、これ以上単純にできない完成した解です。
(第1の解答おわり) 

 この式10であらわされるベクトルPと、
ベクトルM=(ベクトルa+b)/2
が平行である事が以下の計算で確かめられる。
 先ず、ベクトルaとbを反時計回りに90度回転したベクトルavとベクトルbvを考える。
(ベクトルの平行性の確認おわり)

解答の式10の分子は、 
(ベクトルav)-(ベクトルbv)
をあらわす。それは、以下の式の通りです。
この式は、以下のひし形の対角線の直交の公式によっても、
(ベクトルa)+(ベクトルb)
に平行になる事がわかります。

 【ひし形の対角線の直交の公式】
 以下の式で与えられる「ひし形の対角線の直交の公式」を覚えて使いましょう。
式(2)-式(3):
「この式6の左右の項が互いに置き換えられる」
ということが、
ひし形の対角線の直交の公式です。
この公式は、以下の図の線分OKの傾きが線分OHの傾きの逆数×(-1)である、ことを示す公式です。

----ひし形の対角線の直交の公式おわり----------- 

【2重平行四辺形の面積の公式】
 ここで、もう1つの式7で与えられる、2重平行四辺形の面積の公式も覚えて使いましょう。(これは恒等式です)
この式7の公式は、右辺から左辺を導く公式として覚えましょう。
この式7の公式は、以下の図の平行四辺形の面積をあらわすベクトルの外積の間の関係です。
----2重平行四辺形の面積の公式おわり----------- 

(90度回転したベクトルを利用した面積の公式)
 この2重平行四辺形の面積の公式は、ベクトルAとBを反時計回りに90度回転したベクトルAvとBvを使って、以下の式であらわせます。
(90度回転したベクトルを利用した面積の公式おわり)

解の式10は、これ以上単純にできない完成した解でした。
しかし、それは、(ベクトルa)+(ベクトルb)に平行なので、その式の定数倍の式でも解が表せると考えます。

以下の図の様に、この解10をベクトルであらわすと:
 この式(10)は、上式の様にベクトルOKの2倍をOKの長さの二乗で割り算した形の式に変換できることがわかります。
 図形とベクトルを使って解を表現すると、この様に解を求める見通しが良くなるので、方程式の解を得たら、その解を可能な限り図形とベクトルを使って表現してまとめるよう心がけましょう。

 この様に解が変換できることが分かったので、次に、この交点Pの式10の解を、2重平行四辺形の面積の公式(7)とひし形の対角線の直交の公式(6)を使って変換することを試みましょう。

式8に、式7(の逆)を代入して変形する。
この式11に、公式6を代入する。
次に、式9に、式7(の逆)を代入して変形する。
この式13に公式6を代入する。
式12と式14をまとめる。
(第2の解答おわり)

(補足1)
 ここで、第2の解答で式15の形の解を求めましたが、
第1の解答で得た式10の形の解と、式15の形の解とは、どちらが優れている(単純な)解であると言うことが出来ない対等な解です。
 問1を解く解答者の意思に従って、問1の解は、式10にも、また、式15にもなります。
 
 全く対等な解が、式10の形と式15の形との2つの形であらわせます。その2つの解の間の変換は、ひし形の対角線の直交の公式を用いて行なえます。

(補足2)
 式15は、2つの接線の交点Pの位置ベクトルOPは、点Aと点Bの中点Mの位置ベクトルOMに平行であることを示している。
また、式15は、点Aと点Bの中点Mの位置が円のグラフに近づけば、点Pが中点Mに近づくことを示している。

(補足3)
 式10で交点P(x,y)の座標値が計算された時点で、線分OPの傾きは、線分OHの傾きの逆数×(-1)になっているので、ひし形の対角線の直交の公式(式6)によって、線分OKの傾き(=線分OMの傾き)に等しいことがわかります。

リンク:
ベクトルで円の二接線の交点(極)を求める(解の変換)
複素数平面が、円の2つの接線の交点問題を簡単にする

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