2011年8月22日月曜日

放物線の極線

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佐藤の数学教科書「微分」編の勉強

なめらかな曲線の接線は、微分によって初めて正しく定義できる。
(接線を求める式に重根が含まれるとは限らない。)

【難問】放物線
y= x (式1)
に、点P(a,b)を通る傾きm直線が交差する交点をQとRとするとき、
点Qでの放物線の接線と点Rでの放物線の接線との交点をSとするとき、
傾きmを変化させたとき、Sはある直線上にあることを示せ。

この問題は、以下の問題と同じ問題です。
【問題2】放物線
y= x (式1)
に、点P(a,b)を通る直線が交差する交点をQとRとするとき、
点Qでの放物線の接線と点Rでの放物線の接線との交点Sは、点Pから放物線に引いた2つの接線の接点を結んだ直線上にあることを示せ。

また、以下の問題とも同じです。
【問題3】放物線
y= x (式1)
に、点P(a,b)を通る傾きmの直線が交差する交点をQとRとするとき、
点Qでの放物線の接線と点Rでの放物線の接線との交点Sは、mの値に関係なく、ある直線上にあることを示せ。

(解答の方針)
この問題は、放物線外の一点Pから、放物線に弦を無数に引いたとき、弦の両端における2本の接線の交点を結んでできる直線(これは極線と呼ばれている。その極線を作る元になる点Pは「極」と呼ばれている)を求める、有名な問題です。

この問題は、何度でも解いて練習すべき問題として推薦します。

(解答)
(1)
点P(a,b)を通る傾きmの直線を以下の式で定義する。
y-b=m(x-a) (式2)
点Q(c,d)とR(e,f)との座標c及びeを求める式は、式1に式2を代入してyを消去することで求められる。
=m(x-a)+b
-mx+ma-b=0
-mx+ma-b=(x-c)(x-e) (式3)
(2)
点Q及び点Rでのx=t(t=c,e)の位置でも接線の傾きは式1を微分することで求められる。
y’=2x (式4)
式4から、x=tの位置での接線の傾きは2tである。
よって、x=tとなる放物線上の点の接線の式は、以下の式であらわせる。
y-t=2t(x-t)
この式をtについて整理する。
-2xt+y=0 (式5)
この式5は、
(x,y)が、点Qの接線とRの接線とで共通な値となるとき、
すなわち、両接線の交点S(x,y)の座標をあらわすとき、
tに、点Q(c,d)の座標値cを代入して成り立つ式であり、
かつ、R(e,f)の座標値eをtに代入して成り立つ式である。
よって、式5は、S(x,y)の座標に関する式で、t=c、t=eを根に持つ二次方程式である。
-2xt+y=(t-c)(t-e) (式6)
(3)
式3と式6を比べると、
-mx+ma-b=(x-c)(x-e) (式3)
-2xt+y=(t-c)(t-e) (式6)
式3と式6の根と係数の関係より、
-m=-(c+e)=-2x
m=2x (式7)
ma-b=ce=y
ma-b=y (式8)
式7と8よりmを消去すると、
2xa-b=y
y=2ax-b (式9)
点Sは、この直線9(極線)上にある。
(解答おわり)

【注意】

この問題を、点Sの軌跡を求める問題と考える場合は、点Sの軌跡は式9であらわされる直線のうち、式1の放物線で切り取られる弦の外側の部分を描くことに注意。

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