2017年9月13日水曜日

2元連立方程式をベクトルの内積により計算する

以下の連立方程式を考える。
この連立方程式は、以下のように定義したベクトルの内積の式5と6であらわすことができる。

この連立方程式を以下のようにしてベクトルを使って解く。

(解答はじめ)
 先ず、式3が成り立つので、以下の式7が成り立つ。
すなわち、ベクトルaとcの和のベクトルと、ベクトルaとcの差のベクトルの内積が0になり、それらのベクトルが互いに垂直である。
(これは、以下の図のひし形の対角線の直交の公式をあらあわす)

 ベクトルzを、互いに垂直なベクトルの要素に分解することは容易にできるので、以下でその作業を行う。
ベクトルaとcの和のベクトルに平行な単位ベクトルsと、
ベクトルcとaの差のベクトルに平行な単位ベクトルtを考える。
ベクトルzを、単位ベクトルsとtに平行な要素に分解してあらわす。
 ここで得られた式8は、ベクトルzの解である。

 この式8をベクトルaの要素とベクトルcの要素で整理すると、もっと複雑な、扱いにくい式になる。
ベクトルは、この式8のように、互いに垂直なベクトル毎にまとめる方が単純な式になる。
この式8が、この計算結果によるzの解をあらわす一番単純な式である。
(解答おわり)

(補足1)
 この式8が成り立つことは、以下のようにして確認できる。
問題の式5と式6は以下の式に変形できる。
式8が、この式を満足するので、式8が成り立っている。

(補足2)
 この問題のzの解は、以下の式9であらわすこともできる。

(式8を式9に変換する)
 この式9は、以上とは異なる発想で解いた結果の式であり、式8と等しい式です。以下の計算によって、式8を式9に変換できます。
こうして、式8を式9に変換できました。
(変換おわり)

 式8も式9も、どちらが優れている(単純な)解だと言うことが出来ない、対等な解です。
 式9は、ベクトルaに垂直なベクトルaと、ベクトルcに垂直なベクトルcを加えてあらわした、使うベクトルの数が多い式ですが、式8よりも計算がし易い式であるとも言えそうです。

この式9は、直ぐには導き出せないので、以下のように整理して公式として覚えておいてください。

【ベクトル方程式の公式1】
以下の連立ベクトル方程式の式a1とa2があるとき:
この連立ベクトル方程式の解は:
である。
なぜなら、式a1と式a2のベクトルzに式a3を代入すると、以下の通り、式a1とa2を満足するからである。
(公式おわり)

【ベクトル方程式の公式2】
以下のベクトルzとaとbがあるとき:
ベクトルaとbを反時計回りに90度回転したベクトルとベクトルbを利用して、以下の関係が成り立つ。
(公式おわり)
この公式を図で表すと以下の図になります。

(補足:公式2の言い換え)
 ベクトルuとwを以下の式で定義する。
このベクトルuとwを使って公式2が以下の形の式であらわせる。
公式2はこの形の式に言い換えた方が覚えやすいかもしれない。

【連立方程式の解の公式3】
 以下の連立方程式の解の公式3もあります。
これらのベクトルを使って連立方程式10と11をまとめて上のベクトル方程式15が得られます。

すなわち、ベクトルの視点で見ると、連立方程式10と11は、式15のベクトル方程式をあらわしていると見ることができます。

 ここで、ベクトルaとベクトルbと、それらを反時計回りに90°回転させたベクトルとベクトルbが下図のように描けます。
反時計回りに90°回転させたベクトルaとベクトルbが以下の式16と17であらわせます。
以下の式の内積の計算により、xの解の式18とyの解の式19が得られます。

(補足)
ベクトルaを反時計回りに90度回転した単位ベクトルa=fを、
更に反時計回りに90度回転した単位ベクトルfは-aになる。
そのため、ベクトルの内積a・bを、

両ベクトルを一緒に反時計回りに90度回転して内積した値は同じ値になるが、
その関係は、以下の式であらわされる。
・b=-a・b

すなわち、以下の式20が成り立ちます。
 (補足おわり)

 結局、ベクトル方程式15であらわした連立方程式10と11の未知数xとyが、上の式18と式19で計算できる、
連立方程式の解の公式3が導けました。
この解の公式3の方が覚えやすい公式かもしれない。
この公式3は、以下の図で表せる。

リンク:
円の極の座標の解の変換 
複素数平面が、円の2つの接線の交点問題を簡単にする 
高校数学の目次

0 件のコメント:

コメントを投稿