2017年8月31日木曜日

双曲線の二接線の交点を求める

【問1】
 双曲線(x-y=1)に対して、
接点a(a,a)から引いた接線と接点b(b,b)から引いた接線の交点p(p,p)を求めよ。
(参考)接点aと接点bから引いた2つの接線の交点pを、双曲線の極線abに対する極と呼びます。

【解答】
双曲線の式を、以下の式1のf(x,y)=0であらわす。
接点aとbとに、以下の式2と3が成り立つ。
双曲線の接線の公式により、接点aとbとの2つの接線は、以下の式4と5であらわせる。
式4と5を連立させて、2つの接線の交点p(p,p)=(x,y)を求める。
この式8であらわされるベクトルPと、ベクトルmが平行である事が以下の計算で確かめられる。
 先ず、ベクトルaとbを反時計回りに90度回転したベクトルavとベクトルbvを考える。
 (ベクトルの平行性の確認おわり)

この接線の交点Pの式を、以下の、双曲線の弦と中点の共役点通過線の直交の公式を使って更に変形する。
<双曲線の弦と中点の共役点通過線の直交の公式>
「この式10の左右の項が互いに置き換えられる」
ということが、
双曲線の弦と中点の共役点通過線の直交の公式です。
これは、以下の図の直線が直交し、両直線の傾きの積=-1となる関係を表す公式です。
(原点と、極pの共役点p’と、弦の中点mの共役点は一直線上にあります)

式6を変形する。
(式の変形の補足)
以上の計算で分母を変換した計算は、以下の様に、ベクトルaとbを反時計回りに90度回転したベクトルavとベクトルbvを使ってあらわした2重平行四辺形の面積の公式を利用した変形として覚えられます。 
(以上で、2重平行四辺形の面積の公式を使った)

この式11に、公式10を代入する。
次に、二重平行四辺形の面積の公式を使って式7を変形する。
この式13に公式10を代入する。
式12と式14をまとめる。
(解答おわり)

(補足)
 式15は、2つの接線の交点Pの位置ベクトルは、先に確認した通りに、点aと点bの中点mの位置ベクトルに平行であることを示している。

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高校数学の目次

2017年8月27日日曜日

ベクトルで円の二接線の交点(極)を求める(解の変換)

以下では、ベクトルを使って、ベクトルで記述した方程式を解きます。
 ベクトルの問題の解法の1つに「ベクトル方程式」というものがあります。しかし、以下の様なベクトルで記述した方程式の解を求めるには、「ベクトル方程式」のみでは解けません。「ベクトル方程式」を使う以上に、ベクトルで記述した多くの公式を組み合わせて問題を解きます。
 ベクトルで問題を解くということは、ベクトルという記述手段を利用して問題を記述し、多くの公式を適用することで問題を解く作業を行なうということです。
いわば、ベクトルは問題や公式を記述する道具であって、ベクトル自身の法則を使って問題を解くというのはごく一部の問題に限られています。
 そのため、ベクトルの問題を解くということは、ベクトルで記述された公式を使って図形の問題を記述し、その図形問題を、図形を考えることで、図形を解くあらゆる手段を用いて解くという作業です。例えば、XY座標系のグラフを使ってグラフの連立方程式を作って問題を解くことだってあり得ます。
 そのため、ベクトルの独特の計算方法によって問題を解いているような場合も、その計算は、従来の計算方法を、ベクトルという表現手段を使って、整理した形で表現しているだけなのではないかという視点も持って問題解法を見るようにして欲しいと思います。

【問1】
 座標原点を中心にする半径1の円(x+y=1)に対して、
接点B(b,bから引いた接線と、接点C(c,cから引いた接線の交点A(a,aをあらわすベクトルを求めよ。
(参考)点BとCから引いた円の接線の交点Aを、直線BCに対する円の極と呼びます。

【解答】
(第1種の解)
線分OAの長さをaとする。


点BとCの中点をEとする。
2角が等しいため、△ABO∽△BEO
∴OA/OB=OB/OE
a/1=1/OE
OE= 1/a
すなわち、ベクトルOEの長さは1/aで、OAの長さはaである。
そして、ベクトルOAはベクトルOEに平行なので、ベクトルOAは以下の式で計算できる。
(解答おわり)

(第1種の解その2)
 上の解で式1と式2を導出した後は、以下のベクトルの計算によって解を求めることもできます。
この式b9は、式5と同じ形の、ベクトルOAの解である。
(解答おわり)

(第2種の解)
長さgのベクトルEB=βはベクトルOEに垂直である。
そのベクトルEBを90度回転したベクトルαはベクトルOEに平行なベクトルである。
以下では、そのベクトルαを使って、ベクトルOAをあらわす式を計算する。
(解答おわり)

(第2種の解その2)
以下の図のように、ベクトルOBに垂直なベクトルuと、ベクトルOCに垂直なベクトルwを考える。
 ベクトルOAを、以下の、変数sを使った式8と、変数tを使った式9との2通りにあらわす。
ベクトルOAを未知数kとhを持つ以下の式10の形で計算することにする。
式8と式10を合わせる。
式9と式10を合わせる。
式12と式14を式10に代入して、ベクトルOAをあらわす。
この式15は、式7と同じ形の、ベクトルOAの解である。
(解答おわり) 

(補足1)
 ベクトルOAをあらわす解答の式は、式5の形の第1種の解と、式7の形の第2種の解との、異なる2つの形の式であらわされた。
 この2つの形の異なる式は、同じ値をあらわし、両者とも、これ以上単純な式であらわすことができない同等な解である。
 この解は、ここをクリックした先のページで、複素数平面の助けを借りて統一された1つの単純な形で表現できる。

 また、この式5の形の解は、xy座標系であらわした接線の式の連立方程式の解では容易には導けない(連立方程式を解くと、通常は、式7の形の解が導かれる)という特徴がある。
 この式5は、以下の「ひし形の対角線の直交の公式」を使うことで、式7に変換できる。
<大きさが同じベクトルbとcで描いたひし形の対角線の直交の公式>
 詳しくは:

(解の式5の変換開始)
 この式a4の公式を使って、式5であらわしたベクトルOAの1つの成分を変換する。
こうして、式7であらわしたベクトルOAの成分が得られた。
式5であらわしたベクトルOAの残りの成分についても同様に計算すれば、式7であらわしたベクトルOAの成分が得られる。
(解の式5の式7への変換おわり)

 また、三角関数を使うと、この2つの式は以下の式に単純化される。

(補足2)
 式5の解と式7(式15)の解は、以下の図の、ひし形の対角線ベクトル変換公式を使うことで、もっと簡単に変換できる。
(ひし形の対角線ベクトル変換公式)
(ひし形の対角線ベクトル変換公式おわり)

 このひし形の対角線ベクトル変換公式を使うと、式5が以下の様に変換できる。
(解の式5の変換開始)
この式16は、式15及び式7と同じ形の式である。
(解の式5の式7への変換おわり)
 ひし形の対角線ベクトル変換公式を使うことで、このように簡単に式5から式7への変換ができた。
 そもそも、式5と式7との2つの形の解をあらわすことができる原因は、ひし形の対角線ベクトル変換公式によってあらわされる、同じベクトルが2つの形で表現できるという現象に起因するからです。

 ベクトルの問題を解くという作業は、
(1)求めるベクトルの解をどのベクトルを使って表すかを選択ずる。
(2)次に、その2つのベクトルの線形結合の係数を計算して求める。
という作業です。
 ベクトルの問題を解く計算の結果で、解を表現するために適切なベクトルが選び出されてくるということは起こらず、
(1)の段階で基準ベクトルを選ぶことで、解に使われるベクトルが決まってしまいます。それ以外のベクトルによっては、その解があらわされなくなります。式15等はその様にして解を表すベクトルを定めています。
 ここで、あるベクトル系で解を表現した場合に、その解は、ひし形の対角線ベクトル変換公式により、そのベクトル系の直交ベクトル系で表現したもう1つの解の表現ができます。その解は、一見、全く異なる解に見えますので注意する必要があります。

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高校数学の目次

2017年8月25日金曜日

困った時に使う部分積分法

https://schoolhmath.blogspot.jp/2017/06/blog-post_2.html
https://schoolhmath.blogspot.jp/2017/08/blog-post_17.html
「微分・積分」の勉強

(6)積分の知識:
 「部分積分法」
(「微分積分学入門」著者:横田 壽)に、部分積分法が書いてあります。

3.3 部分積分法(integration by parts)
置換積分法を用いて.かなりの積分が求められるようになりました.しかし,置換積分法でも手に負えないものがあります.

 ではどうすればいいのでしょうか.そこで,置換積分を用いても不定積分が求められないとき,最後の手段として用いるものに,部分積分法(integration by parts) があります.


定理3.5 (部分積分法)

f(x), g(x) が連続であるとき,次の式が成り立つ.
この式1が部分積分法の公式です。
(注意)
 この式1の形が正確な部分積分の公式ですが、普通は、関数(f・g)の積分定数Cは省略して書かない。しかし、この関数の積分定数Cを省略して計算してはいけない問題もあります。

 この式1は、以下の式2の形にして使うことができます。

【例題1】
 この積分を計算します。
(解答はじめ)
先ず、以下の媒介変数 f を導入します。
式2の部分積分の計算をします。
 こうして、積分ができました。
(解答おわり) 

【問題1】
以下の定積分を計算して、
nが奇数の場合の定積分の公式と、nが偶数の場合の定積分の公式を導け。
この定積分の公式の求め方は、ここをクリックした先にあります。

【解が初等関数にならない積分もある】
 部分積分しても解が得られない、解が初等関数で表されない積分もあるので注意が必要です。 

(不定積分が初等関数で表せる見通しの立て方)
【事例1】
xsin(x)の不定積分を部分積分する場合に、以下の簡易図を書いて、不定積分が初等関数で表わせる見通しを立てます。
xcos(x)という関数が、
(1)三角関数のcos(x)を微分して-sin(x)にして-xsin(x)という項が得られる。
(2)xを微分して定数にしてxが消えてcos(x)という項が得られる。
(3)sin(x)を微分するとcos(x)という項が得られる。
《積分が初等関数で表せる見通し》
(3)が(2)の項を打ち消す事ができる。

そのため、xsin(x)は不定積分が初等関数で表わせます。

【事例2】
 以下の図の左側の各関数を微分すると、右側の2つの関数になる。
《積分が初等関数で表せる見通し》
 図の左側の関数の組み合わせが、微分関係で互いが生んだ微分で得られる2つの項の1つを打ち消して、
残りの項だけを微分で得ることができる。
《事例2の研究》

という式を作ると、
この式を微分すると、

となり、係数だけが元の式とちがう、単純な関係があることが見えてきます。
 しかし高校数学では関数値が複素数になる関数は扱わないので、計算の準備段階において、この単純な関係を反映している以下の関係式を導き出しておいて、その式を積分の計算に利用するのが良いと考えます。


【事例3】

sin(x)/x
は不定積分が初等関数であらわせません。
《積分が初等関数で表わせ無い事を見通す》 
 図の左側の関数が、微分で得た項の1つを左側の他の関数で打ち消すと、右側の、打ち消すべき微分結果の項が増える。
その項を打ち消すために、更に左側の関数が必要になり、必要な関数が無限に必要になる。
そのため、
(1/x)sin(x)
は不定積分が初等関数で表わせ無い、

という見通しが立てられます。

【事例4】
 部分積分の公式の本質を用い、以下の様にして積分の見通しを立てつつ、不定積分しても良いとも思います。
【例題1】は、以下の様にして積分できます。
 この積分を計算する。

(解答はじめ)
先ず、以下の図の部分積分見通し図を計算用紙に書く。
log(x)が微分の結果の2つの項のうち1つで出てくる初等関数x(log(x))を考える。
その初等関数を微分して出きるもう1つの項が微分で得られる他の初等関数を考える。
こうして、積分の見通しを立てる。

次に、この部分積分見通し図から、以下の式を得る。
式1が分かれば、直ぐに、式2が分かる。
これにより、式2の右辺の積分が左辺の式で得られる。
(例題1の解答(その2)おわり)

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