2013年9月1日日曜日

ベクトル方程式で三角形の内心の位置ベクトルを求める



大学への数学「ベクトル」編の勉強


【問1】三角形OABの内心(内接円の中心)Dの位置ベクトルをもとめよ。
【解答方針】
ベクトル方程式の問題は、
「2次元空間の全てのベクトルは、2つの独立なベクトルの係数倍の和であらわすことができる」
という基本原理を用いて、基準にする2つのベクトルを定める。そして、未知の3つ目のベクトルをその基準ベクトルの合成であらわすことにする。ベクトル方程式を利用して、その分解する基準ベクトルの各係数を計算することで未知のベクトルを求める。



【解答】
2つの独立なベクトル(基準ベクトル)として、ベクトルOAとベクトルOBを用いることにする。
そして、求めるベクトルODを以下の式(1)であらわす。そして、ベクトルADを式(2)であらわす


ベクトルpとベクトルqの間には以下の式(3)の関係がある。式(3)に(1)と(2)を代入して式(4)が得られる。

式(4)から、以下の式(5)と(6)が得られる。

式(5)と(6)を連立して係数sとtを計算する。先ず、(6)から以下のsを与える式(7)が得られる。

式(7)を(5)に代入してtを計算する。

式(8)を(7)に代入してsを計算する。

(9)を(1)に代入してベクトルODをあらわす。

(解答おわり)

《補足》
ちなみに、この式(10)から、以下の式を計算できる。

ここで、ベクトルaを以下のベクトルcとベクトルbにおきかえる。


この式(14)は、ベクトルBDは、ベクトルbとベクトルcの間の角度を2等分した直線に平行なベクトルであることを意味する。
 すなわち、内心の点Dでは、角度Aの2等分線と角度Bの二等分線と角度Cの二等分線が1点Dで交わることを意味する。

《研究》
上記の式を同値変形してみる。

この式から、以下の式が得られる。

ベクトルDO,DA,DBに関して上式の関係があることがわかった。

 各点の位置ベクトルを、ベクトルO,A,B,C,Dであらわすことにして(座標原点をGとする)、上式を以下の計算で位置ベクトルであらわす式に変形する。

この式のように、先の、内心Dと各頂点を結ぶベクトルで表した等式は、内心の位置ベクトルDを、先の等式と同様な形をした、頂点の位置ベクトルで表す公式に変換される。
 この内心の位置ベクトルの公式を図を書き直してあらわすと、以下の図の式になる。


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