2016年8月10日水曜日

三角形の外心の高さ

佐藤の数学教科書「図形と方程式」編の勉強


【問】三角形ABCの外心(外接円の中心)の座標Dを定める法則を探せ。

数学の新しい技術を学んだら、その技術の力を使って、何か新しい法則を見つけるよう心掛けましょう。

ここでは、外接円の中心座標Dを定める法則を探してみましょう。

(予備知識)
複雑な図形の問題は、より単純な図形の問題に置きかえて考えます。
(難しい形の問題は、全て、単純な形に置き換えて考えるのが数学のコツです。)

【解答】
先ず、頂点A,B,Cの座標を、点A(2m,2m)、点B(0,0)、点C(2c,0)と定義して、問題を解いてみる。
外接円の中心Dは、線分ABの垂直二等分線と線分BCの垂直二等分線(X=c)との交点を計算することで求める。

線分ABの垂直二等分線は線分ABの中点Mを通る直線である。

線分ABの垂直二等分線の式は、ベクトルMDとそれに垂直なベクトルMの内積が0であることをあらわす式である。

上の図のように、直線ABの垂直二等分線の式は、式1であらわされる。
(X-m)+m(Y-m)=0 (式1)

直線BCの垂直二等分線の式は、
X=c (式2)
であらわされる。
式1と式2を連立してY座標を計算する。
これで、D点のY座標を定める式の法則が得られた。
(解答おわり)

このYの値の式を、以下の様に分かり易く書き直します。
外心の高さYを与える式を変形すると、2番目の式のように、
余弦定理に類似した式が得られます。

そもそも、三角形の外接円の半径をRとすると、
R・cosA= Y
が成り立っていて、
また、
三角形の辺bと辺cの積は、高さhで:
bc=2Rh
とあらわせます。
そのため、
bc・cosA=2h・Y
になる事は直ぐに分かります。
なお、底辺BCに垂直な、底辺から頂点Aまで達するベクトルhは以下の式で表せる。



以下では、この式を、ベクトルの切替の公式を使って導きます。
【問1】 
上の三角形において、上のベクトルの内積の式が成り立つことを証明せよ。

【解答1】
 先ず、ベクトルbとcを、外心から引いたベクトルAとBとCであらわす。
この式を、大きさRが等しいベクトルAとBとCの内積であらわし、式を変換する。
赤枠内でベクトルの切替の公式を使っています。
ここでベクトル(B+C)は、上図の辺BCに垂直であり、長さが2mである。
(証明おわり)

【解答2】
 上の解答の計算の別解として、
ひし形の対角線の直交の公式を使った方が、
以下の様に、スムーズに計算できます。
(解答おわり)

(補足)
 この解答2の計算をするとき、図形の変換の考察も同時に並行して行うことが望ましい。

【解答3】
 以下のように、辺に垂直なベクトルを2つ考えて解くと、ベクトルHOの計算が簡単に解けます。


という、2つの、辺に垂直なベクトルを定義する。これらの垂直ベクトルは三角形の高さhの逆数の大きさを持つ。

の2つの式で未知数sとtを導入する。


(ベクトルHOの解)
 なお、

である。また、垂直ベクトルの大きさが三角形の高さの逆数の大きさであることを考慮することで、垂直ベクトルを、ベクトルaとcを合成した式で表すことができる。

リンク:
三角形の外接円の中心の位置ベクトルの公式を初めて学ぶ方法
ベクトルで三角形の外心を表す種々の式

裏正弦定理
高校数学の目次

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